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新風の商店街がエンターテインメントの


「サウスレイク・タウンスクエア」



 

1.サウスレイク・タウンスクエアの概要と特徴

 サウスレイク・タウンスクエアーはアメリカ・テキサス州のサウスレイク市の中心核づくりとして1999年3月に第一期がオープンした。サウスレイク・タウンは単なるSCではなくサウスレイク市民のコミュニティの場としてまた周辺の商圏内生活者のショッピングの場としての役割を果たしている。それゆえにSC以外に市役所・郵便局・タウンホール・図書館・コミュニティ広場・オフィス、将来にはシアターやホテルも計画されている。正に、サウスレイク市のダウンタウンの再生を目指した開発であり、新風商店街である。アメリカでは崩壊し、わが国では長期低落下(三大都市圏以外は、わが国でも商店街は崩壊している)の道を歩んでいる商店街は、実はショッピングの場だけではなく地域コミュニティの場でもあった。商店街(アメリカではダウンタウン)には、買物や飲食だけでなく、住民が生活する上で必要な公的施設として市役所(役場)・郵便局・公民館(市民ホール)・病院・警察署(交番)・図書館・消防署・商工会議所・バスストップ・鉄道の駅・ホテル(旅館)…等があり、買物の場・生活の場としてのコミュニティの場であった。人が集まる必然性のある場に商店街があり、商店街は生活支援産業としての役割を果たしていた。ところがアメリカでは1950年代から、わが国では1970年代から車社会(それまでは歩く社会・自転車の社会。バス・電車の社会であった)によって新業態としてのSCが出現し、旧業態化した商店街を切り崩し、アメリカでは商店街は崩壊し、わが国でも崩壊の寸前まで行ってしまった。すなわち、車社会となり国道沿線やバイパス沿線に商店街以外の市役所を中心に生活のインフラであるコミュニティ施設が移動し、商店街は孤立化し、衰退化したのである。商店街は確かに車社会による立地移動及びSCの出現により商業業態としての敗けパターン化したため商業の新陳代謝によって崩壊あるいは長期低落下したわけだが、多くの長所を持っていた。ただ、商店街が持っていた長所が勝ちパターン化(新しい時代のニーズを取り込むシステムとしてのビジネスモデルの完成度の高さ)していなかったためである。商店街が持っていた地域コミュニティの場や人的ふれあいの場が車社会に対応したSCの仕組みを中心としたビジネスモデルに敗けた結果である。

 サウスレイク・タウンスクエアーはサウスレイク市の商店街の再生であり、商店街の持っていた長所と役割を行政と民間デベロッパーが一体となって開発した多目的な新商店街である。サウスレイク・タウンスクエアーはサウスレイク市のみならず周辺住民のコミュニティの場として高い評価を得ており、今回事例として取り上げた理由である。

 サウスレイク・タウンスクエアーの施設概要は次の通りである。
(1)市のシンボルゾーンとしてのサウスレイク・タウンスクエア

 昔は各市町村の行政単位別に中核センターがあり、ここがこのまちの中心であると明確に認知できる場があった。そこには公共施設と商店街等の生活支援産業が一体化し、まちのシンボルゾーンを形成していた。しかし、車社会により立地が多様化し、公共施設も生活支援産業も分散化の道を歩んだ。市町村の行政単位には、まちの「顔」(見て中心と思える場)「へそ」(文字通り人が集まる場・交通の拠点の場)「頭」(公共機関の集積の場)が必要であり、出来る限りこの三つの機能が一ヶ所に集中していることが住民にとっても対外的にも望ましい。いわゆる市町村の住民にとって自慢し・誇りに想い、対外的にも独自性と存在性を示す場がシンボルゾーンである。正に、サウスレイク・タウンスクエアーは3つの機能を兼ね備えたサウスレイク市の顔・へそ・頭とのシンボルゾーンである。分散化した都市機能を車社会に対応した新しいシンボルゾーンに集中させたサウスレイク・タウンスクエアーの開発概念は、わが国の市町村の合併特別法による広域行政が確立し益々、行政単位のシンボルゾーンの希薄化対策にとっての、広域行政の中心核づくり(シンボルゾーンづくり)に大いに役立つ。歩く社会・自転車の社会の行政単位のシンボルゾーンから、車社会の広域行政単位のシンボルゾーンづくりが望まれている。わが国での商店街の活性化施策のTMOは、必然性のない立地と内容で商店街を活性化しようとしているが、全く意味がない。住民にとって必然性のある場所と内容を、行政と民間デベロッパーが公共性とビジネス性を融合させて開発する仕組みが、成功するまちづくりである。サウスレイク・タウンスクエアーは、それを目指した開発である。現在は第一期であり、必ずしも理論通り完成はされていないが、新しい街づくり・新しい商店街づくりとしてのモデルとなる。

(2)ライフスタイルセンターとしてのサウスレイク・タウンスクエア

 ライフスタイルセンターは、筆者が「SCの概要に商店街の良さをプラスしたSC業態」と意味訳した。ライフスタイルセンターは、概念的には「自然環境・建築デザイン環境・体験環境と融合したSC」「人的ふれあいのある地域密着性と融合したSC」「まちづくりと融合したSC」であり、形態的には「オープンエアモールのSC」「専門店中心のSC」「核なしであるのにRSCのテナントミックスのSC」である(ライフスタイルセンターの詳細は、視点(437)参照)。サウスレイク・タウンスクエアーは物販専門店67店・飲食店14店の商業系は81店舗で形成させているが、ゼネラリティ業態の核店は存在しない。その代わりに市役所を中心とした公共施設やオフィス施設が導入され核店機能を発揮している。主要テナントとして、クレート&バレル・バナナリバブリック・ポタリーバーン・ウイリアムソノマ・コンテナーストア・ビクトリーシークレット・ギャップ…等の本来ならばRSCに出店するテナントも数多く出店している。地元テナントとナショナルテナントがオープンエアモールで街並みを形成し、地域のコミュニティの場としてのサウスレイク・タウンスクエアーは、正に真正ライフスタイルセンターである。将来的にはテナント数も増え、さらに本格的ライフスタイルセンターの道を歩むことになる。

(3)多目的な統合生活支援センターとしてのサウスレイク・タウンスクエア

 サウスレイク・タウンセンターはSCというより総合生活支援センターである。アメリカのダウンタウンやわが国の商店街は、昔は総合生活支援センターの中に立地し繁栄していた。サウスレイク・タウンスクエアーは、SCとしてのライフスタイルセンター以外に、公共施設として市役所・市民ホール・図書館・郵便局、ビジネスサービスとして法律・金融・不動産・各種生活サービスのオフィス45室、クリニックセンターとして13室が導入され、商業とコミュニティ施設が一体となり、文字通りサウスレイク市及び周辺住民の必然性のあるコミュニティの場が形成され、その中核施設としてライフスタイルセンターとしてのSCが位置している。

(4)市民の集会や感動の場としてのサウスレイク・タウンスクエア

 行政単位や地域の顔としてのシンボルゾーンとしての最大の役割は市民イベントの開催が可能なことである。絆には家族の絆や友達との絆があるが、地域との絆も大切である。地域との絆は同じ地域に住む人々が郷土文化を育成し共同体としての意識を高めることである。形態としてはイベントの開催であり、「記念イベント」(独立祭・市の創立祭…等の記念日を祝うイベント)「催事イベント」(フリーマーケット・ファーマーズマーケット・花火大会…等の人を集客させるイベント)「カルチャーイベント」(音楽祭等の文化イベント)「交流イベント」(運動会や各種パーティ等の交流イベント)がある。このイベントを可能にするための場がシンボルゾーンであり、サウスレイク・タウンスクエアーはコミュニティ広場やメインストリートを用意し、毎年多くのイベントを行い、市民の地域の絆を高めるための役割を果たしている。正に、サウスレイク市民にとって自慢し・誇りに想うシンボルゾーンとしての役割を果たしている。

 このように、サウスレイク・タウンスクエアーは、商業的にはライフスタイルセンターであるが、市のシンボルゾーンとしての役割や住民の総合生活支援センターとしての役割を持っている。商店街が昔持っていた機能を公共性と事業性を適合し開発した次世代施設である。

2.サウスレイク・タウンスクエアーのエンターテインメントの要素

 サウスレイク・タウンスクエアーのエンターテインメント性は次の3つである。

(1)商店街が持っていた長所とSCの融合がエンターテインメント

 人工的エンクローズドモールに対するアンチテーゼ(反発)としてライフスタイルセンターが登場した。同時にこの傾向は、商店街に対するノスタルジア(郷愁)でもある。サウスレイク・タウンセンターの周辺には大型のRSCや小商圏対応のNSCやスーパーセンターが数多く立地している。買物の場としてのニーズ構造はニッチであるが、大型SCや利便性と安さを基軸とするNSCやスーパーセンターには真似のできない業態として、生活者や住民にとってライフスタイルセンターは是非必要なSC業態である。アメリカで崩壊したダウンタウン(商店街)が、エンターテインメント施設・アミューズメント施設を導入した形態で再現されている例は見られるが、公共施設やコミュニティ施設を導入して再現されている例は少ない。商店街がかつて持っていた自然環境・人とのふれあい・街づくり・コミュニティとの一体化…等を、勝ちパターンとして再現しているのがサウスレイク・タウンスクエアーである。この商店街が持っていた長所をSCとして具現化したことが生活者にとってエンターテイメントである。

(2)地域コミュニティの場とSCの融合がエンターテインメント

 生活者にとって、買物の場は大切な所ではあるがすべてではない。家計の消費に占める買物・飲食への消費は45%程度である。生活トリップ数に占める買物トリップ数はさらに低くなる。買物以外の生活トリップの場としての公共施設や生活サービス業と一体化した場は生活者にとって出向するための必然性の高い場である。サウスレイク・タウンシティは、生活者の生活行動のうち公共性のあるもの、あるいは事業性の低いものは行政が担当し、事業性のあるものは民間デベロッパーが担当し、生活者にとっての生活インフラを確立している。買物に行く場とコミュニティの場が一体化した場は、生活者にとってうれしいエンターテインメントである。

(3)住民が自慢し・誇りに想うふるさとづくりとSCの融合がエンターテインメント

 家族との絆・友達との絆・地域との絆が高まれば郷土愛が高まる。ふるさととしての意識を高めるためには、行政単位あるいは地域単位に、住民が自慢し・誇りに想う強力なイメージゾーンが必要である。それがシンボルゾーンであり、イベント開催ゾーンである。シンボルゾーンはにぎわいと一体化しないと強力なイメージにはならない。サウスレイク・タウンスクエアーは、全市民が一同に集合するイベントを数多く行う場と企画を持ち、住民にとって自慢し・誇り想うことがエンターテインメントである。

 サウスレイク・タウンスクエアーは、わずか2万人強のサウスレイク市のシンボルゾーンである。サウスレイク市の顔でありへそであり頭であり、市民が自慢し・誇りに想う郷土愛の基となるゾーンである。その結果が、サウスレイク・タウンスクエアーの商圏が周辺のエリアを含めて32万人に及んでいる。わが国は現在、市町村合併が積極的に行われている。歩く社会・自転車の社会・バス・電車の社会で生まれた旧市町村が、車社会による生活の場の拡大に伴う広域行政化により住民の郷土意識が低下しつつある。サウスレイク・タウンスクエアーは、このような広域行政単位に新しいシンボルゾーン形成のモデルとなる施設であり、TMOの真髄を追求したSCである。
 
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