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「フォーエバー21から見る価格と品質の概念」

 

 

 

 フォーエバー21を私は「ホストモダン消費対応の小売業」と位置づけました。何故、フォーエバー21のようなファストファッションがポストモダン消費なのか、むしろモダン消費ではないのか…との疑問があるのは事実です。

 私が、フォーエバー21をポストモダン消費志向の企業とした理由は次の通りです。

 プレモダン消費時代は、所得が低く貧困層の多いマーケットです。やがて経済が成長し、国民所得が1万ドルを超えると中産階級が生まれ中所得層中心のモダン消費マーケットが確立されます。いわゆる日本の所得構造がこれに充当します。一方、中国は貧困層・低所得層中心の時代から、中産階級の中所得層中心の時代時代へと突き進んでいます(今、中国の1人当たりのGDPは4,000ドル、日本は40,000ドルです)。日本の1970〜1990年代がモダン消費(モノを買い、消費し、所有し、利用することに喜びを感じる消費)でしたが、中国では現在及び今後が、このモダン消費に充当します。 ★さらに、経済が成熟(この段階では成長ではなく成熟)すると、所得の2極化が進展します。すなわち、低所得層と高所得層に所得階層が両極端になり、この段階の低所得層は、経済の未発達の時代の貧困層でなく、「貧困層でない低所得層」となります。

 この低所得者は、価格の安さを求めることに関しては貧困層と同じですが、貧困層のように、無条件で品質の悪い商品・サービス・情報を受け入れることはありません。

 そこで、フォーエバー21のような「ワンシーズントレンド・トータルスタイル10,000円・ハイイメージ商法」(ワンシーズンのみ使用するトレンドで、特定のスタイルをトータルに揃えても10,000円以内で、かつヴィジュアルプレゼンテーションや店舗イメージを高くする商法)のファストファッションが出現する背景があります。

 一般的には「品質が良い=価格が高い」の考え方ですが、この前提には、「いいものは長く使える」という考え方が存在します。10万円の商品が10年使えれば1年間当たり1万円(10万円÷10年)の使用価値ですが、1万円の商品を1年限りで良い使い方をすれば同じ1万円(1万円÷1年)の使用価値です。 今までの商品・サービス・情報の価値は次の算式で表現されました。

 価値= 広義の品質 ÷ 価格  

 フォーエバー21のようなファストファッションの価値の算式は次の通りです。

 価値= 広義の品質 ÷ 時間(使用期間)

 このように「使用期間を客が限定」し、それに「見合う価格」が一致すれば、フォーエバー21は品質に課題があっても品質の良い商品と評価されます。

 フォーエバー21は、トレンド性・ファッション性・ヴィジュアルプレゼンテーション性という分野の品質を高め、製造工程上の品質(縫製、材質…等)は逆に低く(使用期間が少ないため必要性が希薄)、かつ品質を凌駕する価格(品質の良い悪いを超えた価格)で提供しています。

 これは、成熟時代の低所得層を対象としたファッション専門店業態です。この「ワンシーズントレンド・トータルスタイル10,000円・ハイイメージ商法」を、多くのSPA(製造小売業)が導入しているOEM(相手先ブランドによる製造手法)ではなく、ODM(相手先ブランドによる企画・設計・製造手法)を導入して、旬の商品を旬に製造して、旬に売る仕組みを確立しています。まさに、ポストモダン消費に対応した審美性のある安さを提供する業態です。

 私は、フォーエバー21のみならず、ナゲットマーケット、HEB+、ターゲットなどの廉価業態が、なぜあそこまで感性の高いMDingや店づくりをするのか疑問を持っていましたが、「価値の概念」や「品質の概念」や「低所得層の概念」を新たな視点で見ることにより理解できるようになりました。

 
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