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アルディのアメリカでの2つの戦略


 

アメリカでドイツのアルディ系列の「アメリカ・アルディ」(南アルディ系列)と「トレーダージョーズ」(北アルディ系列)が注目を集めています。

 アメリカ・アルディは徹底的なローコスト化によるバリュー食品業態ですが、トレーダージョーズはこだわり食品業態で、性格は異なります。日経MJに「R2リンク代表・鈴木敏二氏」が『独アルディ 知られざる強豪』で述べておられた内容を私なりに要約かつ加筆して以下に記します。

(1)アメリカ・アルディとトレーダージョーズの共通点

@小型店舗戦略
 アメリカ・アルディは売場面積1,300〜1,600u、トレーダージョーズは売場面積1,000〜1,300uです。アメリカのSSMの4,500〜6,000uの売場面積と比較して、3分の1から4分の1です。
Aアイテム数の絞り込み戦略
 アメリカ・アルディのアイテム数は1,400アイテム、トレーダージョーズは2,500アイテムと品揃えを制限し、客の選択肢を著しく少なくしています。一般のSSMは2万から5万アイテムであるため、10分の1から20分の1と著しく少なくなっています。
Bエブリデイロープライスの価格戦略
 バーゲンやチラシの発行頻度を少なくし、年間を通して価格を恒常的に安くするエブリデイロープライス(EDLP=1つ1つの商品に関しては競合他社より高い商品はあるが、年間を通して買い続けると2〜3割安くなる価格戦略)の価格戦略です。一般のSSMは、定期的に値下げして消費を刺激しようとするハイ・ロー戦略が中心です。
Cプライベートブランド(PB)商品戦略
 PB比率がアメリカ・アルディが95%、トレーダージョーズは85%で非常に高くなっています。食品を含む日用品の業態としては異常に高く、アメリカ・アルディはより安い商品開拓のためのPB商品、トレーダージョーズはより異質化するためのPB商品です。
D対面売場を持たないセルフ中心の販売戦略
 近年の食品業態は、店内加工や店内演出のための対面販売が多くなっている中で、対面売場を一切持たず、加工作業も店内では行っていません。

 このように、アメリカ・アルディとトレーダージョーズは「オペレーションという切り口」で見た時には、両フォーマットは全く同じコンセプトです。しかし、そのコンセプトが業界の一般基準とは異なる戦略を取っています(逆説=アンチ主流の作戦)。

 

(2)アメリカ・アルディとトレーダージョーズの相違点

ところが、アメリカ・アルディとトレーダージョーズは「似て非なる食品業態」です。すなわち、次のような相違点を持っています。

@店内演出戦略

 アメリカ・アルディは、ノーフリルと言われるように店内に一切の装飾を凝らさず、徹底的なローコスト化を行っています。一方、トレーダージョーズはプロのアーティストを雇って、凝ったデザインのサイン、エンドのポップボードや値札などを手書きでつくり、常設のデモ販売ステーションでサンプルを毎日提供したり、店員はアロハシャツを着たりと、店内は通常のSMを超えたヴィジュアルプレゼンテーションによって賑やかさを演出しています。

A業態イメージ戦略

 アメリカ・アルディは、ローコスト開発、ローコスト運営による原理原則通りのノウハウを持つディスカウント型SMです。中品質の商品を安く売ることをコンセプトとする食品業態です。それゆえに、「安さを深化させたSM」と言うことができます。

 一方、トレーダージョーズは、「美味しくなければならない!!」「健康でなければならない!!」「珍しくなければならない!!」の3原則に「安くなければならない!!」を付加した異色の食品業態です。トレーダージョーズは別名、"博士号を持った乞食が買う店"と言われ、所得に限度があるインテリ層に支持されています。

 このように、アメリカ・アルディとトレーダージョーズはオペレーションの土台は一緒ですが、客へのイメージが全く異なり、異なるターゲットの食品業態です。このような手法を「化粧品商法」(原料は同じで、組み合わせにより製品が異なる商法)と言います。


 
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