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六車むぐるま秀之の理歴と理論

〜六車秀之が持つ多様な理論を形成していく過程の歴史を理歴と言います〜



 

 1.六車秀之の理歴
 特定の人を紹介するプロフィールのことを履歴と言いますが、理歴とは特定の人が持つ多様な理論を形成していく過程(プロセス)の歴史のことを言います。私の理歴は次の通りです。
 私は、SC(ショッピングセンター)及び流通のコンサルタントを業として行っており、同時に、流通の成果の根源的解明をライフワークとしています。
 そのために私は、人間としてあるいはコンサルタントとしての「器」づくりを心掛けています。器とは、「任務を行う才能ではなく、任務に堪える才能」であり、同じ技術的ノウハウを持っていても、器の大小によって成果が異なります。また、新たな挑戦をするときには、この器は大きな役割を果たすことになります。そのために、私は、器を大きくするために常に「師匠」という存在を求めています。私にとって最初の師匠は、「清水晶先生」(明治大学大学院・商学研究科教授・商学博士)であり、清水先生からはマーケティング理論及び流通の原論を学び、そのことは私の器づくりに多大なる影響を及ぼしました。第2の師匠は、「吉田三郎先生」(椛D場の会長兼SC綜合開発研究所・所長)であり、吉田先生はSCを実践理論として取り組み、実務界でのSCの先駆者です。私は吉田先生からSCの実践理論及び数値的論理を学び、私の器づくりに影響を与えていただきました。第3の師匠は、「船井幸雄先生」(椛D井総合研究所・社長)であり、直接的な指導は受けていませんが、船井先生の書物をむさぼり読み、またセミナーに参加し、アメリカ視察も同行し、流通業での勝ちパターンづくりのメカニズムやコンサルタントのあり方を学び、私の器づくりに大きな影響を与えていただきました。第4の師匠「アメリカの流通の研究」であり、ロバート鈴木先生(アクセスインターナショナル代表)の視察・指導のもと、アメリカの流通が我が国の流通より40年以上の流通歴の中に、ノウハウの宝の山が存在していることに気付き、アメリカの流通業の過去・現在の出来事を、メカニズム分析し、それを戦略化することで、日本の流通業にも適用するノウハウを学び、私の器づくりに役立ちました。第5の師匠は「次世代流通企業研究会」(宝塚造形芸術大学・大学院教授・経済学博士である菅原正博先生が主催する産学研究会)であり、次世代流通研究会からは流通企業の実践論を実務家から流通原論を大学の教授及び若手の先生方から学び、中でも、菅原先生のご指導の下に、流通ビジネスの実践ノウハウを実務家のみなさまから学んだことは、私の器づくりに大いに役立ちました。第6の師匠は、これから私が取り組もうとしている「消費者心理の研究」であり、私のライフワークの流通業の成果の根源的解明を最終的に決定づける“生活者とは何か”“ライフスタイルとは何か”“ニーズ&ウォンツとは何か”の、何が成果を決定するのかを消費者のライフスタイルを通じて究明することです。この生活者心理(消費者心理)やライフスタイル分析及び買物行動価値分析は、私の器をさらに大きく出来ると自分自身期待しています。
 このように、私は、高い成果を出すためには、他人が見えないものを見抜く力を探索し、それを理論的に組み立て、また成果に転換させるために人間としての器や能力としての器が大切と思い、その器作りのために、常に、師匠としての存在を置いてきたわけです。
 私の好きな言葉に「活路」と「融合」があります。
 「活路とは、過去の価値観が通用しないような激動の中で、今後、何が一番必要であるかを見抜き、次の時代への大きな転換を成長のチャンスに変える方向性のこと」(小山政彦・リーダーの条件より)であり、この活路こそが器が大きくなければ出来ないと考えています。
 「融合とは難局を突破しなければならない時に、異なる性格の概念を有機的に結合し、全く新たなビジネスモデルを創出すること」(六車秀之)であり、この融合も器が大きくなければ出来ないと考えています。
 2つの異なる性格の概念を見抜き、それを成果のある新たな概念に有機的に結合させるためには、大きな器が必要とされています。人間は器がないと、技術力だけでは進歩もしないし成果も出ません。私は、私自身の小さな器を、出来るだけ社会やコンサルティングを依頼して下さる方々のために、器を大きくし、期待に応える成果を出すことにより、お役に立ちたいと思っています。

 2.六車秀之の流通実践理論
 理論とは、流通をメカニズム分析し、なぜこうなったのか?なぜ勝ちなぜ敗けたのか?を論理的にかつ体系化することです。
 戦略とは、流通現象を理論的かつ体系的にメカニズム分析したノウハウを、成果の出るレベルに転換させ、流通の実践に使用されるノウハウです。理論と戦略を一体化させた実践理論のノウハウを、六車流の方法で確立してきましたので、以下で紹介します。

(1)棲み分け分野の新一番型SCの理論

 従来の総合一番型SCではなく、市場細分化作戦(マーケティング戦略の1手法)を行い、特定の分野(あるいは商品)の中で、一番店になる戦略です。セグメント化された他の分野での一番店である競争SCと戦略的に棲み分ければ、勝ちパターンのSCになれるという流通実践理論です。ただ、棲み分け分野での二番店はコテンパンに敗けます。

(2)3割差異化・特化、7割総合化の理論

 アメリカのようにマーケティングレベルが多様化していない日本では、競争相手より、3割差異化し、差異化した以上は特化(圧勝するレベル)し、残り7割は競争相手と同じでもよし、むしろ、総合化した方が売上が高まるとの流通実践理論です。ただし、3割の差異化が、客から見て7割の差異化に見えないと成果は出ません。

(3)1つのマーケットの中での2.5の企業・SC・業態・店舗の成立理論

 マーケットや業態の中で、売り手の独占化ニーズと買い手の選択肢の多様化ニーズの折衷現象として、1つのマーケットあるいは業態の中では、2つの正規軍型の企業・SC・業態・店舗と0.5のゲリラ型(0.5は複数)の企業・SC・業態・店舗が勝ちパターンで成立するとの流通実践理論です。それゆえに、基本的には1つの特定のマーケットの中で、2位以上になることが勝ち残りのための成立の条件となります。

(4)ターゲットの概念絞り込み客層オール対応の理論

 ターゲットは絞り込めば敵の参入障壁が高くなり売上は期待出来ず、逆にターゲットを絞り込まずにオール対応すると敵の参入障壁が低くなり特色のないものになります。そこで、特定のターゲットに概念的に絞り込み、SC・店舗の特色を明確にした上で、絞り込んだターゲット以外の客も来店し馴染めるSC・店舗づくりをすることが成果が高くなるという流通実践理論です。

(5)SC内食品に対するSC外食品基軸の理論

 SC内の食品とSC外の食品が同等レベルで競争すると、SC外の食品が勝つとの考え方であり、それゆえに、SC内で食品を成立させるためにはSC外の食品とは異質性を持った食品を展開しなければSC内食品は成立しないとの考え方の実践理論です。この理論によりアメリカではSCの中に食品が基本的には存在していません。

(6)都心商業に対する郊外商業基軸の理論

 都心商業と郊外商業が同等レベルで競争すると、郊外商業が勝つとの考え方であり、それゆえに、都心商業を成立させるためには、郊外商業とは異質性を持った商業街区を展開しなければと都心商業は成立しないとの考え方の実践理論です。それゆえに、アメリカでは都心商業は郊外商業によって切り崩され都心商業は崩壊しています。わが国での中心市街地の構築において、注意しなければならないポイントです。

(7)SCは、立地30%、仕組35%、MDing25%、運営10%による成立理論

 SCの成立要因は立地と仕組で65%決まっており、MDingと運営は35%の要因しかありません。SCを成立させるためには、立地が良い悪いではなく、立地の持つ特性と仕組を適合させることが成功のポイントであるとの実践理論です。それゆえに、SCは開発ノウハウと運営ノウハウが一体化しないと成果は出ないことになります。

(8)日常の中の新のニーズ理論

 新しいコンセプトにより全く新しいマーケットに挑戦するのではなく、日常的に顕在化し、発生しているニーズの範囲内で、切り口や手法を変えることにより、生活者に新しさを提供できるニーズのことであり、新たなマーケットの創造でなくても日常生活の中で潜在的不満を解決する手法も大きなニーズの創出となるとの実践理論です。すなわち、ライフクリエーション(こんな生活があったのか!! )やライフソリューション(こんなことをして欲しかった!! )を日常生活レベルで提案することです。

(9)業態化、ライフスタイル化、カスタマイズ化の理論

 1つの流通のビジネスモデルの形態は、業態化(取扱い商品、グレード、利用頻度、売り方、見せ方…等で括ること)からライフスタイル化(客及び客の集合体であるマーケットの生活=ライフを、1つの様式=スタイルとして独立した人格化及び価値化すること)、さらにはカスタマイズ化(ライフスタイル化された客数及びマーケットを客の好みに合わせること)へと進むという実践理論です。 アメリカのビジネスモデルの形態は、ライフスタイル化とカスタマイズ化のレベルであり、日本は業態のレベルですので、アメリカに比べて競争相手と同質化しており、敵の参入障壁の低いものになっています。

(10)ムグルマの小売の輪の理論

 1つの分野は、総合化(何でも取り扱う店)から分離・独立化(特定の分野を分離し、3〜10倍に大規模化独立させる)から複合(分離・独立した店を1つの敷地内に再集積させる)、さらに融合化(1つの建物内に再集積させ再編集させる)へと常に循環しているとの実践理論です。ウォルマートスーパーセンターは融合化によって成り立った世界最強の最寄り業態です。

(11)流通及びSCの核要素の変遷理論

 SCの集客の中心となる核要素は時代とともに変遷しています。アメリカの事例で示すと、1960年〜1970年代まではワンストップショッピング&コンパリゾンショッピング性の基軸である「核店舗」が流通及びSCの核要素でした。1980年代は「バリュー性」が流通及びSCの核要素となり、1990年代は「エンターテインメント性」が流通及びSCの核要素となり、2000年代は「プレイス(居場所=居心地感の良い場所)」が核要素となってきました。SCにとって核店舗は核要素の王道ですが、バリュー性やエンターテインメント性やプレイス性(居場所)も核要素となり、核店舗なくしてもSCは成立するようになったとの考え方の実践理論です。

(12)相反する購買動機の融合の理論

 客が商品やサービスを購入する時の動機に、「近くて便利から」「安いから」「品質がいいから」「比較購買ができるから」「楽しいから」の5つのパターンがあります。それぞれの購買動機に適した業態がありますが、同時に、互いの購買動機を融合させた業態もあります。その中で、例えば、安さと品質が融合(アウトレットセンター)や安さと楽しさが融合(バリューセンター)のように、相反する販売動機を融合させたビジネスは業態が良いとの実践理論です。

(13)レイアウトとMDingのトランス効果の理論

 SCのMDingやレイアウトを実際に展開する場合に、SCにとって一番の集客の中心となる売場を発電所と考え、そして、各売場(家庭)までの集客の波及効果(電気を送る)するためには、中間に、マグネット機能(トランス=電圧装置)を置くレイアウトをしなければならないとの実践理論です。例えば、食の売場を集客の核とするならば、ファッション売場までに食品とファッション商品の特性から見て効果の高い波及効果とはなりません。そのため、両者に関連性の強い商品をマグネットして配置する(トランス)ことにより、集客の核の波及効果が末端までスムーズに行われることになるとのレイアウトとMDingの融合理論です。また、レイアウト理論には、「導入→回遊→マグネット→滞留」の理論もあります。

(14)ランチェスターの戦法によるSCの勝ちパターンづくり理論

 ランチェスター理論は、万物普遍の戦略理論であり、時代や場所を越え通用する理論です。その中で、ランチェスター理論をSCに応用したのがSCの勝ちパターンづくりです。1つのSCが競争相手と取り組む場合には、まず、数値的比較が前提になります。戦争で言えば、兵隊の数とか武器の力の差を確認することです。相手の軍事力の強さを知らずして敵に対抗することは無謀です。SCの勝ちパターンのタイプは4つあります。第1のタイプが「完全圧勝・一番型SC」(競争相手のSCの規模を1.7倍〜2.0倍以上規模が上回っていること)、第2のタイプが「棲み分け分野の新一番型SC」(競争相手のSCの規模の0.71倍〜1.4倍未満の場合)、第3のタイプが「特定分野の集中一番型SC」(競争相手のSCとの規模の0.71未満の場合)、第4のタイプが「完璧、2番型SC」(競争相手の規模とは関係ない)です。このように、SCが勝ちパターンづくりを行う場合は、競争相手の規模を常に考慮し、規模対比において対応する戦略手法が異なるとの実践理論です。

(15)SCの長期繁栄体制づくりの3年、8年、25年、50年の変化への対応理論

 SCは20〜25年間、場合によっては50年間繁栄し続けることが必要です。これらをSCの長期繁栄体制づくりといいます。経済は50年に1回、流通は25年に1回、SCのコンセプトは8年に1回、(企業のコンセプトも8年に1回)、MDingのコンセプトは3年に1回、もう少し短期的に言いますと、流行は8ヶ月に1回、仕入は3ヶ月に1回、過去の延長線上とは異なる手法を導入しないと時代に対応できません。ダーウィンの進化論の「生き残っている動植物は、強いものが生き残っているのではなく、変化に対応したものが生き残っている」との考え方に基づくならば、SCは3年単位でソフトリニューアル、8年単位でハイブリッドリニューアル(ソフトとハードの一体化リニューアル)、20年目にはハードリニューアルが必要となるとの実践理論です。

(16)SCのデベロッパーはノンマーチャンダイズリテイラーの理論

 SCのデベロッパーは、テナントの売上高を2〜3倍、粗利を2〜5%、経常利益を10〜30倍も変えることが出来るとの考え方です。テナントは売るノウハウを持ち、デベロッパーは「売れるようにするノウハウ」を持つことが、デベロッパーの運営の真髄です。テナントのMDingが売れるようになっていない仕組では、テナントはノウハウを発揮出来ません。デベロッパーは、売れるようにする仕組みづくりをつくることがノウハウであり、テナントの業績をデベロッパーは小売業でないのに変えることが出来るとの実践理論です。まさに、デベロッパーは商品を取り扱わないが、小売業の感覚を有したノウハウを持つ小売業者と言うことが出来ます。

(17)多核・モール型SCと場づくり型SCの共存共栄理論

 アメリカの1960年代〜1990年代までに中心となり開発されたRSCは、多核・モール型SCです。生活者のワンストップショッピング&コンパリゾンショッピングの要因に応じて、出来るだけ多くの核店(3〜5店舗)を導入し、そして波及効果による比較購買システムとエンターテインメント性のあるモールを配置し、それにより生活者を集客させ、満足度を高めるSC業態です。一方、多核・モール型SCとは性格が異なる場づくり型SCが、核店による集客ではなく、プレイス(居場所=居心地感の良い場所)を核店とするオアシス感のあるSC、井戸端会議が出来るSC、商店街の良さを持ったSC、中心市街地を再現したSC、地域の顔となるSC、住民が自慢し誇りに想うSC…というイメージで開発されています。その結果、場づくり型SCと多核・モール型SCが共存共栄する時代となり、場づくり型SCの代表が、ライフスタイルセンターでありタウンセンターであるとの実践理論です。

(18)ギャレリア型モールと街角型モールの両立理論

 大規模、大通路幅、直線型、大吹抜けの空間演出法による、モールの街並づくりのアメリカ型モールに対して、曲線型、中通路幅、サーキット型、街角演出と、モールの街並づくりによるヨーロッパ型には、アメリカ型モールとは形成要因と客への満足要因が全く異なる概念で出来ています。この街角を1つの文化としてSCのモールに導入して、アメリカ型のギャレリア型とは異なるモールが、もう1つのSCづくりに効果があるとの実践理論です。

(19)三大都市圏の都市構造理論
 アメリカと日本の都市の大きな違いは都市構造です。アメリカは中心市街地がニューヨークとかシカゴ、サンフランシスコ程度しか残っていません。しかし、3大都市圏以外(日本の人口の50%)はアメリカと同じ都市構造であり、アメリカ並みに中心市街地はこのままでは崩壊しますが、3大都市圏(日本の人口の50%)はアメリカとは全く異なる都市構造であり、アメリカのように中心市街地は崩壊しません。日本の3大都市圏には、「中心市街地エリア」「周辺市街地エリア」「第1次サバーバンエリア」「第2次サバーバンエリア」「カントリーエリア」「ルーラルエリア」が存在し、このエリア特性によって成立する流通の業態やMDing展開手法が異なるとの理論です。また、日本の三大都市圏は、中心市街地の商業が著しく強いため、中心市街地から10q圏は、都心商業の直下型立地となり、百貨店の成立性が著しく低くなり、また、10q圏を超えるとSCの黄金ベルト地帯となるとの三大都市圏には立地戦略を間違えると天国と地獄の考え方が通用する実践理論です。

(20)SCは流通業界の覇権業態理論

 アメリカではSCの売上高が小売業の売上高の53%、日本では20%を超えて30%に近未来になろうとしています。小売業の売上高の50%を超える業態が過去の流通現象の中にあったでしょうか。それゆえに、SCは流通業界の覇権業態と呼んでいます。流通業界の覇権業態とは、流通に関わるあらゆる分野のものは、SCを何らかの形で無視することは出来ず、SCとの共存共栄の道を歩むか、SCとは異質性のある方向を歩むかの選択をしなければ、勝ち残るどころか生き残ることも出来ないようになることを意味します。アメリカの百貨店が、平場中心のカジュアル百貨店化したのも中心市街地より小商圏であるSCの中に立地せざるを得ない状況に置かれた結果です。また、ヨーロッパの百貨店は、日本に近い状況なのは、ヨーロッパはSCの洗礼を受けていないからです。それゆえに、アメリカの流通業界とヨーロッパの流通業界は「SCの洗礼を受けているか否か」によって現状の姿が全く異なっています。SCは20世紀の最強の業態を意識した上で、流通業界の各企業、核店舗は展開しなければならないとの実践理論です。

上記以外にも、六車流の実践理論があります

実践理論をブレイクダウンした概念が実践手法です。
理論を実践化するため、あるいは成果に変換させるための技術が手法です。